2025年12月19日、総統は「職業安全衛生法」(以下「職安法」)の重要な改正案を正式に公布しました。今回の改正において各方面から最も注目を集めている焦点は、「パワーハラスメント(中国語:職場霸凌。以下「パワハラ」)の防止」に関する独立した章が新たに設けられたことです。関連する報道によれば、該当する条文は2026年7月1日に正式施行される予定です。これは、台湾におけるパワハラ防止が、行政上のガイドラインの段階から、法制化による強制の時代へと正式に踏み出したことを意味しています。

一、改正の背景:「予防措置」から「法定手続」へ

改正前、パワハラ防止は主に職安法第6条第2項第3号の概括的な規定に基づき、雇用主に対して、職務執行中に他者の行為により身体的又は精神的な不法な侵害を受けることの予防について、必要な「予防措置」を講じることを求めていました。しかし、いわゆる「予防措置」は職業安全衛生施設規則第324-3条に規定されており、同規定には、パワハラの個別事案に関する申立やその他の処理方法についての雇用主の義務等は明確に定められていませんでした。

上記の状況を踏まえ、改正法は「職務執行中に他者の行為により身体的又は精神的な不法な侵害を受けることの予防」を明確に法律レベルへと引き上げ、雇用主に対して「申立て、調査及び処理手続」の構築を義務付けました。また、詳細な規範として、主務官庁は「パワハラ防止準則」草案を策定・予告し、申立処理の流れについて明確な枠組みを示しました。

二、 核心となる改正のポイント

今回の改正は、これまでガイドラインに散在していた予防義務を、より厳格な法定義務へと転換するものです:

  1. パワハラ防止に関する独立した章の新設:「パワハラの防止」を正式に独立した章(第二章の一)として設け、パワハラの態様と雇用主の防止義務を明確に定義しました(職安法第22-1条)。
  2. 規模に応じたコンプライアンスの要件:雇用主は労働者数の規模に応じて、異なる措置を講じる必要があります。
  3. 最高責任者条項:被申立人が企業の最高責任者である場合、被害を受けた労働者は内部手続を経ることなく、直轄市又は県(市)の主務官庁に直接申立てを行うことができます(職安法第22-3条)。

三、 法的責任と違反した場合の代償

改正法の施行後、企業が防止義務を履行できない場合、より厳しい行政上の過料に直面することになります:

  1. 一般的な行政上の過料:防止措置、調査手続又は不利益処分の禁止に関する規定に違反し、期限内に改善するよう通知を受けたにもかかわらず、期限までに改善しなかった場合、新台湾ドル3万元以上75万元以下の過料が科されます(職安法第45条第1項)。
  2. 業務上疾病を引き起こした場合の重罰:防止義務に違反したことにより労働者に業務上疾病が発生した場合、新台湾ドル5万元以上300万元以下の過料が科されます(職安法第43条第1項第3号)。
  3. 最高責任者への処罰:最高責任者がパワハラ行為を行ったと認定された場合、新台湾ドル1万元以上100万元以下の過料が科されます(職安法第46条第1項)。

四、 結論:パワハラ改正法の内容を早期に把握することの重要性

企業にとって、2026年7月1日は遠い先の話ではありません。パワハラ防止準則草案の施行前にすでに発生していたものの、いまだ終結していないパワハラ事案、又は施行後に受理された過去の事案については、いずれも改正法の手続に従って処理する必要があります(パワハラ防止準則草案第24条)。さらに、調査手続に重大な瑕疵があると主務官庁又は労働検査機関に認定された場合、主務官庁は企業に対して「再調査」を求める権限を有します(職安法第22-2条第5項)。パワハラ防止に関する改正法の規定をいち早く把握することは、法令遵守の要請であるのみならず、企業の評判を守り、従業員の心身の健康を保護するための重要な礎でもあります。

 

※注意事項:本稿で言及した職安法及び関連する下位法令草案(パワハラ防止準則草案)は、いずれも現時点では未施行です(主務官庁は2026年7月1日からの施行を予定しています)。読者の皆様におかれましては、最新の法令の動向に引き続きご注意ください。

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