労働部が策定した『職務執行中における不法な侵害予防ガイドライン』(第4版)では、申立の結果に不服がある場合の救済手続が定められていないものの、改正『職業安全衛生法』(以下「職安法」)及び『パワハラ防止措置準則』(以下「準則」)では、当事者(申立人及び被申立人。以下同じ)が申立の結果に不服がある場合、「再審査の申立て」を提起できる旨が規定されました。
一、回避事由の確認
(一) 申立事案の調査、処理又は再審査の申立て手続に参加する人員が、当事者本人又は当事者との間に配偶者、元配偶者、4親等以内の血族、3親等以内の姻族もしくは家長、家族の関係がある場合は、自ら回避しなければなりません。自ら回避すべき者が回避しない場合、当事者はその理由及び事実を書面に記載し、雇用主に対して回避を命じるよう申請することができます。たとえ当事者からの申請がない場合であっても、雇用主は自らその者に回避を命じることが求められます。(準則第15条第1項、第2項、第3項)
(二) 自ら回避すべき事由はないものの、調査、処理又は再審査の申立て手続の実施において偏りが生じる虞があると認めるに足りる具体的な事実がある場合、当事者はその理由及び事実を書面に記載し、雇用主に対して回避を命じるよう申請することができます。(準則第15条第3項)
(三) 回避の申請を受けた人員は、雇用主が当該申請事案に対して許可又は却下の決定を下すまでのは、申立事案の参加を停止する必要があります。ただし、緊急を要する場合は、必要な措置を講じることができます。(準則第15条第4項)
二、申立処理単位の決定に不服がある場合の救済ルート:再審査の申立て
(一) 当事者は、パワハラの申立てに対する成否の決定に不服がある場合、書面による通知を受領した日の翌日から起算して30日以内に、書面に理由を明記の上、雇用主に対して同一事案につき1回に限り再審査の申立てを提起することができます(準則第22条第1項)。
(二) 雇用主は、再審査の申立てを受けた日から10営業日以内に、申立処理単位より構成員の互選で招集者を決定し、再審査審議会議を開催しなければならない。会議の進行にあたっては、再審査申立人に意見陳述の機会を与えなければならず、また、元の調査チームの委員または関係者を同席させて説明を求めることができます。(準則第22条第2項)
(三) 再審査審議会議において、調査・処理の手続きに重大な瑕疵が発見された場合、または元の調査における認定に影響を及ぼし得る新たな事実や証拠が発見された場合は、再審査調査チームを組成して再度調査を行わなければなりません。当該チームは少なくとも3名以上の委員(一部の委員は元の調査チームの委員を充てることができる)で構成し、以下の規定に適合しなければならない。
- 従業員数が100人以上の場合:外部の専門家が3分之2以上を占め、かついずれの性別の割合も3分之1を下回ることはできません。
- 従業員数が30人以上100人未満の場合:外部の専門家が少なくとも1名以上含まれ、かついずれの性別の割合も3分之1を下回ることはできません。
上記の再調査は、準則第3章(即ち第8条から第21条まで)に規定する調査処理フローに準じて行い、再審査の争点または新たな証拠についてさらなる解明および関連する事実・証拠の収集を行わなければならない。その調査報告書は、元の調査報告書の続き(第1回調査報告書の補足)とするか、または完全な報告書として書き直すことができます。その処理期限については、申立処理単位が法定の期限内に理由を付した決定を下せるよう考慮しなければなりません。(準則第22条第3項、労働部の『職場ハラスメント防止措置指導マニュアル』)。
(四) 申立処理単位は、再審査審議会議を開催日から起算して30日以内に、理由を付した決定を行い、雇用主は再審査の申立ての決定日から10営業日以内に、事実及び理由を明記した書面により再審査申立人と再審査案件の相手方に通知する必要があります。再調査を行うべき場合は、その決定は30日間延長することができます。再審査の結果について、雇用主は再審査の申立ての決定が行われた日から10営業日以内に、中央主務官庁が公告する内容及び方式に従い、システムに登録することが求められます(準則第23条第1項、第2項、第3項)。
三、申立の調査、処理手続に瑕疵がある場合の救済ルート:主務官庁による再調査命令
当事者が、雇用主が行ったパワハラ事案の調査結果を不服とし、主務官庁又は労働検査機関に申立てを行った結果、準則の規定に違反していると認定され、かつ調査手続に準則第22条第4項各号に定める重大な瑕疵のいずれかに該当する事情がある場合、主務官庁又は労働検査機関は再調査を求めることができ、その手続は準則第22条及び第23条の規定が準用されます。なお、雇用主はこの再調査の要求を拒否することができません。(準則第24条、職安法第22条の2第5項)
企業が以下のいずれかの状況に該当する場合、主務官庁は新台湾ドル3万元以上75万元以下の過料を科すことができます:①当事者に対して十分な意見陳述及び弁明の機会を付与しなかった場合、利益相反回避の規定を遵守しなかった場合、調査チームの外部専門家の割合が2分の1に満たなかった場合、又は②被害を受けた労働者からの申立の受理及び事案の処理結果について、中央主務官庁が指定するウェブサイトに登録せず、期限を定めて改善するよう通知したにもかかわらず、期限までに改善しなかった場合、又は③主務官庁又は労働検査機関による再調査の要求を拒否した場合。上記の事由により過料処分を受けた場合、主務官庁は企業名、代表者の氏名、当該過料処分の年月日、違反条項及び過料額を公表します(職安法第22条の2第2項、第3項、第5項、第45条第1項第1号、第2号、第49条第1項第2号)。
企業は、調査手続が職安法又は準則の規定に準拠せず瑕疵があった場合、過料処分を科されるだけでなく、主務官庁から再調査を要求されるリスクもある点に、特に留意する必要があります。
※注意事項:本稿で言及した職安法及び関連する「パワハラ防止措置準則」は、いずれも公告されており、2026年7月1日より施行されています。















