申立ての調査、処理の実効性を確保するため、改正『職業安全衛生法』(以下「職安法」)及び『地方主務官庁による最高責任者のパワハラ事件申立受理処理弁法』草案(以下「処理弁法」)は、最高責任者がパワハラの行為者である場合を対象として、高額な過料処分及び外部の申立手続を新設しました。
一、「最高責任者」の定義 :
法人の代表者に限らず、代表者の業務を実質的に執行している者又は組織の人事、財務もしくは業務執行を実質的に支配している者であり、かつ特定の要件を満たす者(例:現任もしくは過去に就任していた取締役・監査役、持分比率20%以上の株主、代表者の配偶者又は特定の親族など)についても、これに該当します(処理弁法第2条、第3条)。
二、外部への申立期限:
パワハラ行為が終了した時から3年を経過している場合、又はパワハラ事案の発生時に労働者が在職しており、離職した日から1年を経過している場合(パワハラ行為が終了した時からいまだ3年を経過していない場合を除く)、地方主務官庁は申立を不受理としなければなりません(職安法第22条の3第2項、処理弁法第9条第1項第4号)。
三、地方主務官庁が申立を受理した後、雇用主は通知を受け取った後に相応の必要な措置を講じる必要があります:
- 労働者が地方主務官庁に対して最高責任者によるパワハラの申立てを行った場合、地方主務官庁は申立人の雇用主に対し、職安法第22条の2第1項第2号に基づき、即時に有効かつ適切な措置を講じるよう通知する必要があります(処理弁法第4条)。
- 地方主務官庁が最高責任者以外の者によるパワハラ申立てを受理した場合、申立人の雇用主に対し、職安法第22条の2第1項の規定に基づき、即時に有効かつ適切な措置を講じるよう通知する必要があります。また、地方主務官庁は当該地域の労働検査機構に対しても、その旨を通知することが求められます(処理弁法第5条)。
四、申立の受理及び調査
- 申立は、書面に必要事項を記載のうえ署名する必要があります。規定に適合しない場合、地方主務官庁は申立人に対し、通知を受領した日から15日以内に補正するよう通知することができます(処理弁法第7条)。
- 地方主務官庁は、申立を受理した日から10日以内(補正を通知した期間は算入しない)に、受理するか否かを書面により申立人に通知し、不受理とすべき理由がある場合は、書面にその理由を明記することが求められます(処理弁法第9条)。
- 地方主務官庁は、申立を受理した日から7日以内に調査を開始し、2ヶ月以内に調査を完了する必要があります。必要があると認められるときは、1ヶ月延長することができ、その場合は申立人に通知することが求められます。地方主務官庁は調査結果に基づき、遅くとも調査報告書が完成した日から1ヶ月以内に、パワハラの申立てが成立するか否かの決定を下し、その決定結果を書面に事実及び理由を明記した上で、当事者及びその所属部署に通知する必要があり、パワハラ行為の成立が認定された場合は、法に基づき過料等の処分を科さなければなりません(処理弁法第10条、第16条)ただし、パワハラ事案が既に司法の捜査又は審判手続に移行している場合、地方主務官庁は必要があると認めるときは当該手続が終結するまでの間、処理を一時停止することができます(処理弁法第15条)
五、地方主務官庁が受理した最高責任者によるパワハラ申立事案及びその処理結果は、中央主務官庁が公告した内容及び方法に従ってシステム上に登録することが求められます(処理弁法第17条)
六、最高責任者にパワハラ行為があると認定された場合、新台湾ドル1万元以上100万元以下の過料が科されます(職安法第46条第1項)。
※注意事項:本稿で言及した職安法及び関連する下位法令草案(パワハラ防止準則草案、地方主管官庁による最高責任者のパワハラ事件申立受理処理弁法草案)は、いずれも現時点では未施行です(主務官庁は2026年7月1日からの施行を予定しています)。読者の皆様におかれましては、最新の法令の動向に引き続きご注意ください。















