『パワーハラスメント防止措置準則』(以下「パワハラ防止準則」)第27条、第28条は、申立手続の競合及び新旧法令の適用について特別な規定を設けています。
一、パワハラ防止準則第27条は、「パワハラ申立事案が職場におけるセクシュアルハラスメントの法規に関わる場合、雇用主は本準則および職場セクシュアル・ハラスメント防止措置準則に定める各手続きに従って処理しなければならない。また、申立人の申立ての意向および内容に基づき、関連事項について併せて調査・ヒアリングまたは事実解明を行い、重複した尋問を避けなければならない。」と規定されています。
- 従業員数が30人以上の雇用主は、パワハラ又はセクハラを問わず、いずれも申立処理単位を設置する必要があります。ただし、その構成員数、性別割合については異なる規定が設けられています。職場におけるセクハラ防止措置準則(以下「セクハラ防止準則」)第12条第2項は、「その構成員にはジェンダー意識を有する専門家を含めなければならず、かつ女性構成員の割合は2分の1を下回ってはならない」(最低構成員数の規定は設けられていません)と定めているのに対し、「パワハラ防止準則」第9条第1項は、「構成員は少なくとも3名以上とし、かついずれの性別の割合も3分之1を下回ってはならない」と規定されています。
- 従業員数が100名以上の雇用主は、パワハラ又はセクハラを問わず、いずれも調査チームを設置して申立調査を行う必要があります。ただし、設置期限、構成員の人数及び性別割合は異なる規定が設けられています。
(1) 設置期限について、パワハラ防止準則第14条第1項は、「申立を受理した日から15営業日以内に調査チームを設置しなければならない」と規定されているのに対し、セクハラ防止準則においては調査チームの設置期限に関する明文規定は設けられていません。
(2) 構成員総数及び性別割合について、パワハラ防止準則第14条第2項は、「少なくとも3名以上とし、外部の専門家が2分の1以上を占めなければならない。いずれの性別の割合も3分の1を下回ってはならない」と規定されています。これに対し、セクハラ防止準則第13条第2項は、「申立調査チームを設置してこれを調査しなければならない。その構成員には、ジェンダー意識を有する外部専門家を含めなければならない」とのみ規定されており、調査チームの構成員の最低人数及び性別割合に関する明文の規定は設けられていません。
(3) また、留意すべき点として、パワハラ防止準則、セクハラ防止準則のいずれにおいても、一般の従業員及び申立事案を処理する従業員は教育訓練を受講しなければならないと規定されています(パワハラ防止準則第6条、セクハラ防止準則第9条)。しかし、パワハラ防止準則第14条第3項は、「事業単位の調査チームの構成員は、パワハラの防止に関する教育訓練を少なくとも3時間以上受講しなければならない」と時間を明記しているのに対し、セクハラ防止準則第9条第2項第1号では、申立、調査及び処理に携わる者を優先的に教育訓練を実施すべき対象とすることのみ規定しており、教育訓練の時間数に関する明文の規定は設けられていません。
二、パワハラ防止準則第28条は、「本準則の施行前に受理された職場における不法な侵害事案のうち、パワハラ申立事案に該当するもののまだ完結していない場合、及び施行前に発生したパワハラ事案であって施行後に申立が受理された場合については、いずれも施行後の規定に基づき完結させるものとする。ただし、既に進められた手続については、その効力を妨げられない。」と規定されています。
企業は申立処理単位、調査チームを設置する際、委員が上記のセクハラ防止準則とパワハラ防止準則の関連規定を同時に満たすよう構成することをお勧めいたします。これにより初めて、パワハラ防止準則第27条の規定に基づき、併せて調査・ヒアリングまたは事実解明を行い、重複した尋問を避けることが可能となります。
※注意事項:本稿で言及した職安法及び関連する「パワハラ防止措置準則」は、いずれも公告されており、2026年7月1日より施行されています。















