予防ガイドラインでは「3日以内に処理チームを成立させて当事者間の協議の調整又は調査を行うことが望ましい」、「調査期間は2か月以内に完了すべきであり、必要に応じて、1か月延長することができる」と定めていたのに対し、改正「職業安全衛生法」(以下「職安法」)及び「パワハラ防止準則」草案(以下「準則」)は、申立の各段階において、それぞれ異なるタイムラインの要件が設けられています。

一、回避事由の確認

  1. 申立事案の調査、処理又は再審査の申立手続に参加する人員が、当事者本人(申立人及び被申立人。以下同じ)又は当事者との間に配偶者、元配偶者、4親等以内の血族、3親等以内の姻族もしくは家長、家族の関係がある場合は、自ら回避する必要があります。自ら回避すべき者が回避しない場合、当事者はその理由及び事実を書面に記載し、雇用主に対して回避を命じるよう申請することができます。また、当事者からの申請がない場合であっても、雇用主は自らその者に回避を命じる必要があります。(準則第12条第1項、第2項前段、第4項)
  2. 自ら回避すべき事由はないものの、調査、処理又は再審査の申立て手続の実施において偏りが生じる虞があると認めるに足りる具体的な事実がある場合、当事者はその理由及び事実を書面に記載し、雇用主に対して回避を命じるよう申請することができます。
  3. 回避の申請を受けた人員は、雇用主が当該申請事案に対して許可又は却下の決定を下すまでは、申立事案の調査、処理又は再審査の申立手続への参加、実施を停止する必要があります。ただし、緊急を要する場合は、必要な措置を講じることができます。(準則第12条第3項)

二、申立受理フェーズ

(一) 申立の提出方法

申立人は口頭、電子メール又は書面により申立てることができます。口頭又は電子メールによる場合、受理する人員又は受理部門は記録を作成し、申立人に対して読み上げる又は閲覧させることにより、その内容に誤りがないことを確認する必要があります。上記の書面又は記録には、申立人の氏名、所属部署及び役職、住居所、連絡先電話番号、申立日、申立の事実内容及び関連の証拠を記載のうえ、申立人が署名又は押印することが求められます。(準則第7条第1項、第2項)

(二) 申立の提出期限

パワハラ行為が終了した時から3年を超えている場合、又はパワハラ事案の発生時に在職していた労働者が、離職した日から1年を超えている場合(パワハラ行為が終了した時点から3年を経過していない場合を除く)、雇用主は申立を受理しないことができます。(準則第7条第3項、第9条第1項第6号)

(三) 申立の不受理が可能な場合

申立がパワハラに該当しない場合、具体的な内容がない場合、匿名による場合、同一案件がすでに不受理とされている、又はすでに対応済みである場合、申立が取り下げられている場合、申立期限を過ぎた場合、雇用主は申立を受理しないことができます。(準則第9条第1項)

(四) 申立人への通知

申立処理単位は申立を受けた後10日以内に受理するか否かを決定し、書面にて申立人に通知する必要があります。通知することができない場合は、通知を免除することができます。受理しない場合は、書面による通知にその理由を明記することが求められます。(準則第9条第2項)

(五)届出義務

雇用主は、被害を受けた労働者からの申立を受理し、かつ準則第9条に定める不受理事由がない場合、受理の翌日から7日以内に、中央主務官庁が公示するウェブサイト及び内容に従い登録を行い、申立人に通知する必要があります。(準則第8条)

三、申立の調査及び決定の作成フェーズ

(一) 従業員数が100人以上の雇用主は、調査チームを設置する必要があります。

従業員数100人以上の雇用主は、申立を受理した日から7日以内に調査チームを結成しなければなりません。調査チームのメンバーは少なくとも3名とし、メンバーの半分以上は外部専門家でなければならず、いずれの性別の比率も3分の1以上であることが求められます。事業所の調査チームメンバーは、パワハラ防止に関する教育訓練を少なくとも3時間受講することが求められます(当該訓練は事業単位が自ら開催する又は中央主務官庁が実施する研修に参加することができます)。外部の専門家は、労働権益又は関連業務の対応経験を有していなければなりません(雇用主は中央主務官庁が設置するパワハラ調査専門人材データベースから選任することができます)。(準則第10条第2項~第4項)

(二) 協議の調整の試み

  1. 申立事案の調査を進める際に、申立人が協議の調整を希望する場合、申立処理単位は協議の調整を試みる必要があります。協議の調整を担当する人員(事業単位内部の人員又は外部の専門家)の選任は、当事者の同意を得る必要があり、当事者のいずれか一方が協議の調整を希望しない場合、又は協議の調整開始日から1か月を超えてもなお合意に至らない場合は、協議の調整を終了しなければなりません。当事者間で合意に達した場合は、申立の事実内容及び協議の調整による合意事項を記載した記録を作成することが求められます。(準則第11条第1項)
  2. 協議の調整が成立しない場合、雇用主は引き続き調査を行い、その他の即時かつ有効な適切な措置を講じる必要があります。(準則第11条第2項)
  3. 雇用主が被害を受けた労働者からの申立によらずパワハラの状況を知った場合、事実を確認した上で当該労働者に申立の意思がないとしても、協議の調整を希望する場合は、上記の方法に従い協議の調整を試みることが求められます。(準則第11条第3項)

(三) 申立の調査実施及び調査報告書の作成

  1. 雇用主は、調査チームが設置され、当事者へのヒアリングを開始した日から2か月以内に調査報告書を完成させなければなりません。必要な場合は1か月延長することができますが、その際は当事者に通知することが求められます。ただし、調査過程における協議の調整期間はこの期間に算入しません。(準則第14条第1項)
  2. 申立処理単位又は調査チームを設置していない場合は、雇用主と労働者代表が共同で調査、審議及び決定等の関連事項を処理することができます。(準則第15条第3項)

(四) 申立の成立、不成立に関する決定の作成

  1. 雇用主は、申立処理単位に対し、調査報告書の完成日から遅くとも1か月以内に、当該調査結果を参考にしてパワハラ申立の成立、不成立に関する決定を行わせなければならず、懲戒処分又はその他の処理に関する提案を作成することもできます。この決定は、申立処理単位のメンバーの2分の1以上が審議会に出席しなければならず、出席者の過半数の同意を得て始めて作成することができます。また、①決定を作成した日から10日以内に、当該決定の事実及び理由を書面に記載して当事者に通知するとともに、救済の方法及び期限を提示、②決定を作成した日から15日以内に、中央主務官庁が公示する内容及び方法に従いシステムへの登録を行うことが求められます。(準則第15条第1項、第2項、第4項及び第16条第2項)
  2. 申立処理単位又は調査チームを設置していない場合は、雇用主と労働者代表が共同で調査、審議及び決定等の関連事項を処理することができます。(準則第15条第3項)

四、申立の調査、処理手続に瑕疵がある場合の救済ルート:主務官庁による再調査命令

雇用主が行ったパワハラ事案の調査結果が、主務官庁又は労働検査機関によって準則の規定に違反していると認定され、かつ調査手続に準則第19条第4項各号に定める重大な瑕疵のいずれかに該当する事情がある場合、主務官庁又は労働検査機関は再調査を求めることができ、その手続は準則第18条及び第19条の規定が準用されます。なお、雇用主はこの再調査の要求を拒否することができません。(準則第20条、職安法第22条の2第5項)

企業が、①当事者に対して十分な意見陳述及び弁明の機会を与えなかった場合、利益相反回避規定を遵守しなかった場合、調査チームの外部委員の比率が2分の1に満たない場合、又は②被害を受けた労働者からの申立及び案件に対する処理結果を中央主務官庁が指定するウェブサイトに登録せず、期限内に改善するよう通知を受けたにもかかわらず期限までに改善しなかった場合、又は③主務官庁又は労働検査機関による再調査の要求を拒否した場合等に該当するときは、主務官庁は新台湾ドル3万元以上75万元以下の過料を科すことができます。上記の事由により過料が科された場合、主務官庁は企業名、代表者氏名、当該過料処分の処分日、違反条文及び過料金額を公表します。(職安法第22条の2第2項、第3項、第5項及び第45条第1項第1号、第2号、第49条第1項第2号)

企業は、調査手続が職安法又は準則の規定に適合せず瑕疵がある場合、過料が科される可能性があるだけでなく、主務官庁から再調査を求められる可能性もあることに特に留意する必要があります。

※注意事項:本稿で言及した職安法及び関連する下位法令草案(パワハラ防止準則草案)は、いずれも現時点では未施行です(主務官庁は2026年7月1日からの施行を予定しています)。読者の皆様におかれましては、最新の法令の動向に引き続きご注意ください。

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