日本政府は近年、外国人政策の一環として、在留資格(ビザ)に関する審査基準の見直しや、運用の厳格化を進めています。これらは下位法令である省令・規則やガイドラインなどの変更を通じて対応されるケースも多く、法律の改正とは異なり、見直しが随時行われる傾向にあります。日本での事業展開や外国人材の活用を検討する企業にとっては、こうした変化を適時かつ正確に把握することが重要になっています。 

本稿では、このような動向を踏まえ、最新の変更について簡潔に概説します。 

 

1. 経営・管理 

「経営・管理」は、日本において起業や会社経営を行う外国人が取得する在留資格です。経営実態のないペーパーカンパニーによる不正滞在を防止する目的から、2025年10月の基準改定では、その要件が大幅に厳格化されました。 

改定における主な変更点としては、以下のような点が挙げられます。 

  • 資本金等の基準:500万円から3,000万円へ引き上げ 
  • 経歴・学歴要件の新設 
  • 1名以上の常勤職員の雇用義務 
  • 申請者または常勤職員に日本語能力(CEFR B2、N2相当)を要求 

これにより、従来と比べて、事業の実体性や継続性について、より高い水準での立証が求められるようになっています。 

 

2. 技術・人文知識・国際業務(技人国) 

「技術・人文知識・国際業務」(通称「技人国」)は、通訳・翻訳、エンジニア、マーケティングなどの専門職に従事する外国人を対象とする在留資格であり、「永住者」に次いで多く利用されています。一方で近年、店舗や工場などでの単純作業に従事するなど、許可されていない業務に就く事例が問題となり、運用が見直されました。 

  • 派遣形態で就労する場合、資格外活動を行わせないことを確約する誓約書の提出が必須化(2026年3月~) 
  • 通訳・翻訳など言語能力を用いる対人業務では、申請人本人の語学力(CEFR B2、日本語はN2相当)が必要(2026年4月~) 

こうした明確化を含む見直しにより、名目上の職務内容と実際の業務が一致しているかが、これまで以上に厳しく確認されることとなります。 

 

3. 企業内転勤 

「企業内転勤」は、外国企業の職員を駐在員として日本に転勤させる際に用いられる在留資格です。制度要件自体に変更はないものの、2026年4月以降、審査運用が厳格化され、以下のような提出書類が追加されました。 

  • 申請人の経歴や転勤前後の業務内容を示す資料 
  • 転勤前に勤務していた外国事業所の登記、納税状況、取引実績 
  • 日本で勤務する事業所の不動産登記簿、事務所写真、平面図など 
  • 在留期間更新時における、申請人の日本での納税状況の証明書 

今後は、当該転勤が形式的なものではないことに加え、日本における事業所の実体や、適正な納税が行われているかといった点も重視される状況となっています。 

 

4. 永住 

永住許可についても、2026年2月改定のガイドラインにより、審査基準が見直されました。2027年4月以降は、在留期間が3年のビザでは原則として申請できなくなり、5年ビザ保持者に限定されます。また、税金や社会保険料については、全額納付していることに加え、期限内に納付しているかどうかも、明確に審査対象となりました。 

さらに、収入要件の引上げや、現時点では設けられていない日本語能力要件の追加についても、今後の検討課題として議論されています。 

 

おわりに 

このように、多くの在留資格において、基準の見直しや審査運用の厳格化が進んでいます。 

これらは法改正を伴わずに行われることも多く、企業や外国人本人が気づかないうちに要件や運用が変更されているケースも少なくありません。 

日本での滞在、投資、事業運営、外国人材の雇用などを検討する際には、最新の状況を継続的に確認していく姿勢が、これまで以上に重要となっています。 

 

(参考) 

出入国在留管理庁「在留資格「経営・管理」」(2026年418日取得,https://www.moj.go.jp/isa/applications/status/businessmanager.htm 

出入国在留管理庁「在留資格「技術・人文知識・国際業務」」(2026年418日取得,https://www.moj.go.jp/isa/applications/status/gijinkoku.html 

出入国在留管理庁「在留資格「企業内転勤」」(2026年418日取得,https://www.moj.go.jp/isa/applications/status/intracompanytransfee.html 

出入国在留管理庁「永住許可に関するガイドライン(令和8年2月24日改訂)」(2026年418日取得,https://www.moj.go.jp/isa/applications/resources/nyukan_nyukan50.html 

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