台湾立法院は122日、修正案を可決し、法案は正式に立法手続きを完了しました。これは2013年以来最大規模の法改正となります。主な改正内容は、工事や請負に関する規定に加え、職場におけるいじめ(パワーハラスメント)の防止について、従来のように主務官庁が下位法令に基づき発布する予防指針に依存するのではなく、正式に「職業安全衛生法」に盛り込まれた点が含まれます。 

今回の法改正は、近年増加傾向にある重大な労働災害への対策に加え、企業内で深刻化する職場いじめに対する社会的要請に応えるものです。職業安全衛生法に「職場いじめ(職場霸凌)」に関する専章を設け、防止規定を法体系に組み込みました。また、職場いじめを「職務上の権力関係等の背景に基づき、業務上必要かつ合理的な範囲を超えて、侮辱、威嚇、孤立等の不当な言動を持続的に行い、心身の健康に危害を及ぼす行為。ただし、情状が重大な場合は、持続的であることを要しない」と明確に定義しました。 

企業に対しては、事業規模に応じ、内部通報制度及び防止措置の構築、並びに規定に基づく調査チームの設置が求められ、同チームが通報事案を処理することになります。次に、事業規模にかかわらず、職場いじめの疑いがある事案を認知した際には必要な措置を講じなければならず、かつ、通報の受理及び調査結果について主務官庁が指定するウェブサイトへの登録が義務付けられます。また、最高責任者が職場いじめに関与した疑いがある場合は、外部通報ルートが適用され、政府機関や専門家が調査に介入できる仕組みも構築されます。最後に、主務官庁または労働検査機関が、企業の行った職場いじめ事案の調査結果について、法令に基づき制定された規範に違反し、かつ調査手続きに重大な瑕疵があると認定した場合、事業主に対して再調査を命じることができます。 

一方、建設及び施工現場における労働災害対策も強化されました。一定規模以上の工事発注者は、企画・設計段階から危険予知を実施し、安全関連費用を計上した上で、工事企画設計安全分析報告書を作成しなければなりません。施工への引き渡し時には、施工者に対し、当該分析報告書に基づき施工リスクを評価させ、必要な予防設備及び措置を講じさせる必要があります。さらに、台湾における複雑な下請負構造の現状を考慮し、元請業者及び各段階の請負人に対し、より厳格な防災管理責任を課しています。 

罰則に関しても大幅な調整が行われました。死亡労働災害が発生した場合の罰金(刑事罰)の上限が150万台湾元に引き上げられ、有期懲役の上限は3年から5年に引き上げられました。3人以上が負傷する労働災害が発生した場合も同様に厳罰化されました(罰金の上限を18万元から100万元へ、有期懲役の上限を1年以下から3年以下へ調整)。さらに、企業が職業安全衛生法に違反した場合、企業名や代表者名などに加え、多くの場合において、主務官庁は労働災害の発生日、発生場所、被災者数などの内容も公表することとなります。 

今回の職業安全衛生法改正条文の施行日は行政院による別途指定を待つことになりますが、在台日系企業にとっては、内部規定、通報制度、工事関連契約及び管理体制が改正内容に適合しているか、早急に確認することが求められます。実務上の対応が遅れた場合、罰金等の処分を受ける可能性があるだけでなく、企業イメージにも悪影響を及ぼす恐れがあります。したがって、最新情報の収集を継続し、コンプライアンス体制の強化を積極的に推進する必要があります。 

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