日本では在留外国人の人数が増加を続けています。厚生労働省の国立社会保障・人口問題研究所の推計では、2070年には人口の1割以上が外国人になる可能性もあると指摘されており、日本社会における外国人の存在感は今後さらに高まることが予想されます。
日本政府は一貫して「移民政策はとらない」との立場を維持していますが、深刻な人手不足を背景に、外国人労働者の受入れ制度は徐々に拡大されています。本稿では、特に現業分野(製造業、建設業、農業、介護など)における外国人受入れ制度の特徴と変遷を概説します。
(一)技能実習制度
日本で現業分野における外国人労働者の受入れが本格的に始まったのは、1993年に開始した「技能実習」制度がきっかけでした。この制度は、開発途上国から来た技能実習生に技術を学んでもらい、学んだ技術を出身国の経済発展に生かしてもらうという「技能移転による国際貢献」を目的にしていました。
しかし実際には、現業分野の人手不足を補う役割を技能実習生が担うという状況があり、制度の建前と実態のずれが大きくなっていました。また、技能実習制度の在留期間は最長5年間ですが、その間の転籍(転職)は原則として認められていません。そのため、悪質な待遇や労働環境などにより外国人が失踪してしまうケースも多数見られ、国際機関からも批判を受けていました。
(二)特定技能制度
2019年には「特定技能」制度が新設されました。これは、介護や建設等の人材確保が困難な分野において、即戦力となる外国人労働者を受け入れる制度です。
この特定技能制度の新設は、日本の外国人労働者の受入れに関する大きな転換点であると言われています。特定技能では、外国人を「現業分野における労働力として受け入れる」ことが制度趣旨として明記されたからです。
また、現業の外国人労働者に長期的な定住への道を開いたことも大きな特徴として挙げられます。特定技能には「1号」と「2号」の2種類があり、1号の在留期間は原則として通算5年間に限定されていますが、1号より熟練した技能を要する2号には在留期間の上限がなく、家族帯同も可能です。試験合格等の条件を満たすことにより、1号から2号に移行することもできます。
なお、特定技能制度では原則として同一分野内での転職も認められています。
(三)育成就労制度
さらに、2027年4月からは、上記(一)の「技能実習」制度を廃止し、これに代わるものとして「育成就労」制度が開始されることになりました。育成就労制度は、人手不足分野における人材の育成・確保を目的とするとされています。これは、技能実習制度が「国際貢献」を建前とし、法律でも「技能実習は、労働力の需給の調整の手段として行われてはならない」と定められていたのとは大きく性質が異なっています。
技能実習制度と異なり、育成就労制度では1〜2年の転籍制限期間を経過すれば、本人の意向で転職できるようになります。また、在留期間は原則3年間ですが、その後は(二) の「特定技能」への移行が認められやすくなっており、中長期の就労につながりやすい制度設計になっています。なお、家族帯同は技能実習と同様に不可ですが、こちらも将来的に特定技能2号に移行することにより可能となります。
技能実習制度における「国際貢献」という建前や制度と実態の乖離を見直し、長期的な人材確保に向けて「外国人から選ばれる国」を目指す姿勢を明確にしたのが今回の制度改革です。育成就労制度がその理念通りに根付くかどうかは、政府や企業などによる今後の運用のあり方にかかっています。
(参考)
出入国在留管理庁「外国人材の受入れ及び共生社会実現に向けた取組」(2025年12月29日取得,https://www.moj.go.jp/isa/content/001335263.pdf)。
出入国在留管理庁「育成就労制度Q&A」(2025年12月29日取得,https://www.moj.go.jp/isa/applications/faq/ikusei_qa_00002.html)。















