台湾では、航空会社の客室乗務員が体調不良のまま勤務を継続し、帰国後に死亡した事案を受け、病気休暇の取得をためらう企業文化が社会問題化しています。労働部の調査によりますと、従業員の約46%が過去1年に病気休暇を取得したものの、その1割超が考課、昇進、皆勤手当、シフト調整などで不利益を受けたと回答しており、制度運用面の課題が顕著になっています。 

上記の状況を踏まえ、労働部は20251120日に「労働者休暇規則」改正草案を公表しました。主な内容は第9条の1の追加であり、労働者が1年以内に取得した普通傷病休暇が10日を超えない場合、雇用主はこれを理由として当該労働者に対し不利益な処分を行ってはならないことが明記されました。労働者が不利益な取扱いを受けたと主張する場合、雇用主は当該処分が病気休暇の取得とは無関係であることを立証する責任を負います。また、仮に労働者が1年以内に10日を超えて普通傷病休暇を取得した場合であっても、人事考課の認定にあたっては、雇用主は労働者の職務能力、勤務態度、および実質的な業績等を総合的に考慮すべきであり、単に普通傷病休暇の日数のみを判断材料としてはなりません。さらに、草案第7条第2項および第9条第3号に基づき、労働者が家族を自ら介護するために取得する私事休暇については、時間単位での申請が可能となります。また、雇用主は、労働者が家族介護のために私事休暇を取得したことを理由として、これを欠勤とみなし皆勤手当に影響を及ぼすような取扱いをしてはなりません。 

以上の規定に違反した場合、所轄官庁により労働基準法に基づき、最高で100万台湾元の過料を科される可能性があります。 

改正条文は、法制手続完了後、202611日より施行されます。企業の皆様におかれましては、評価制度や皆勤手当の運用が改正法令および趣旨に適切に合致しているかどうか、早急の確認と社内制度の整備が求められています。従業員が安心して病気休暇を取得できる適正な労務環境の構築が、今後一層重要になってくることに、ご留意ください。 

弁護士等

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