所有者不明土地とは 

日本では近年、「所有者不明土地」が深刻な社会問題として注目されています。これは、不動産登記簿を確認しても所有者が直ちに判明しない土地、または②所有者が判明しても、その所在が不明で連絡が付かない土地を指します。 

国による2024年の調査では、所有者不明土地が全体の約 23%を占めるとされており、公共事業の遅れ、民間取引の阻害、さらには管理不全による近隣への悪影響等が指摘されています。 

 

所有者不明土地が生まれる背景と対策 

日本の不動産登記制度では、所有権その他不動産に関する権利関係の登記(「権利部」の登記)の申請は、原則として当事者申請主義であり、申請義務はありません(ただし、登記をしなければ第三者に自身の権利を主張できない等の不利益を被ることはあります)。 

そのため、現実の権利関係が登記簿に反映されないまま放置されることも少なくありません。実際、上記の所有者不明土地の発生原因のうち、「相続登記の未了」は 63%、「住所変更登記の未了」は 29%にのぼります。 

こうした状況を改善するため、近年不動産登記法の改正が行われ、これまで任意であった「相続登記」と「住所・氏名(名称)変更登記」が義務化されました。 

 

相続登記の義務化 

不動産の相続では、遺産分割を行わないまま相続が何度も繰り返されることで、共有者が累積的に増加し、所有者の探索に膨大な時間・費用を要したり、管理・利用が適切に行われなかったりすることが問題となっています。 

改正後は、相続により不動産の所有権を取得した者は、その取得を知った日から 3 年以内に、相続による所有権移転登記を申請しなければならなくなりました。また、遺産分割が成立した場合も、成立日から 3 年以内に申請しなければなりません。正当な理由なく申請を怠った場合は、日本円(以下同じ)10 万円以下の過料の対象となります。本改正は2024年4月1日にすでに施行されています。施行日前の相続であっても義務化の対象となりますが、2027年3月31日までの3 年の猶予期間が設けられています。 

 

住所・氏名(名称)変更登記の義務化 

次に、住所または氏名・名称(以下「住所等」といいます)の変更登記も義務化されました。従来は、自然人・法人ともに、住所等変更に係る不動産登記の申請義務はなく、多くの所有者情報が更新されないままになっていました。このことは、都市部における所有者不明土地発生の主因とされています。 

改正により、所有者の住所等に変更があった場合は、変更日から2 年以内に登記申請をしなければならなくなりました。正当な理由なく怠ると、5万円以下の過料の対象になります。本改正は2026年4月から施行される予定です。こちらも、施行日前の変更でも義務化の対象となります(2年間の猶予期間が設けられています)。 

なお、上記改正に合わせて「スマート変更登記」制度も開始しています。事前に氏名・住所、生年月日等の「検索用情報」の申出(日本国内に居住する自然人の場合)、または登記事項への会社法人等番号の追加(会社法人等番号がある法人の場合)をしておけば、住所等の変更があるたびに登記申請をしなくても、登記官の職権で変更登記がなされます。 

 

日本で不動産を所有している方、または今後相続する可能性がある方は、これらの制度改正に注意を払い、必要時には専門家や法務局等に相談されることをお勧めします。 

 

(参考) 

法務省「民法等一部改正法・相続土地国庫帰属法の概要」(2026年2月24日取得,https://www.moj.go.jp/content/001444016.pdf 

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