労働部は5月1日、行政院会において「職業安全衛生法(以下、職安法という)」の改正案を提出しました。今回の改正の要点は、労働災害(以下、労災という)の根本的な防止強化、請負管理の改善、職場パワハラ防止に関する新たな章の追加であり、職安法違反及び労災発生時の罰則強化も含まれています。

労災防止の強化に関しては、改正案では法定の機械、設備及び器具の安全の根本的な管理について、それらの申告登録及び検査管理の仕組みを新たに設けています(第9条)。また、一定規模以上の建設工事の計画、設計及び施工を行う事業者に対し、事前に工事の特性を分析し、潜在的な危険を特定したうえで防止措置を講じ、安全衛生費を計上し、報告書を作成することを求めています(第15-1条)。

請負管理の強化に関しては、一定規模以上の工事を異なる複数の業者に分割発注する場合に、事業者が安全衛生の統括管理責任者を1社指定することと規定されています(第27-1条)。また、多重発注の場合は、各請負人が自らの請負部分を更に下請けに出す際に、作業の連絡調整、巡回、安全教育などの災害防止措置を実施し、元請けによる請負管理に協力しなければなりません(第27条)。

今回の改正案の焦点の一つは、職場パワハラ防止に関する新章の追加です。改正案では、裁判所の実務および関連ガイドラインを参考に、職場パワハラの定義を明文化しました。一般によく見られる侮辱、脅迫、嘲笑などの言動のほかにも、無視や孤立も職場パワハラに該当する可能性があります。このほか、現行実務においては、職場パワハラの継続性が要件とされてきましたが、本改正案では、但書が加えられ、重大な事情がある場合は、継続性は必要としない旨が付け加えられています(第22-1条第1項)。

職場パワハラに対する申立て及び処理の仕組みについての改正案の主な内容は以下のとおり:

  1. 労働者を10人以上雇用する事業者は、申立て窓口を設けると共に、勤務場所内に掲示しなければなりません。30人以上の場合は、パワハラ防止対策、申立て及び処分の規定も制定する必要があります(第22-1条第2項、第3項)。
  2. パワハラの申立てを受けた雇用主は、直ちに防止措置を講じ、事件を調査し、加害者に対して適切な措置を取ると共に、状況を見て、申立人の意向も踏まえて、調整、相談、支援や保護などの対応を行わなければなりません(第22-2条第1項第1号)。
  3. 労働者からの申立てがない場合でも、雇用主がパワハラの事実を把握した場合は、事実関係を明確にし、労働者の意向と協力により調整や申立て支援を行い、必要な協力を提供しなければなりません(第22-2条第1項第2号)。
  4. 雇用主は、申立てを受けた場合や職場パワハラを確認した場合に、中央主管機関が指定するウェブサイトへ登録を行う必要があります(第22-2条第2項)。
  5. 加害者が事業の最高責任者である場合、労働者は地方主務官庁に直接申立てを行うことができます。加害者及び協力を要請された個人は、地方主務官庁の調査手続に協力したり、関連資料を提供しなければなりません(第22-3条)。
  6. 以上の規定に違反した場合には、状況に応じて台湾元3万元以上150万元以下の過料が科され、更に主務官庁が事業規模や事案の状況により台湾元225万元を加算することもできます(第44条、第45条)。

上述の改正の要点のほか、本改正案では、安全衛生に関する教育訓練、職安法違反に対する申立て、労働検査などに関する詳細な改正も含まれています。更に、職安法違反により労災が発生した場合の罰則は、最高で有期懲役5年に引き上げられ、各種規定違反に対する過料の上限も引き上げられています。なお、職安法違反により過料を科された場合や労災が発生した場合には、労働部が設置した検索システムで事業者名、雇用主と責任者の氏名などの情報が公表されることとなっています。

今回の改正案は、2013年以来最大規模の職安法改正となっていますが、現時点では、行政院会での改正案の可決、立法院での審議と可決を経る必要があるため、改正法の実施時期や最終的な内容は未確定ですが、近年、職場パワハラに対する社会的関心が高まっていることを鑑み、各事業者におかれましては、事前に内部規定及び体制整備の状況を予めご確認いただき、今後の法改正に備えることをお勧めいたします。

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