労働部は2025年9月19日付で《天然災害発生時における事業単位の労働者出勤管理及び賃金給付要点(中国語:天然災害發生事業單位勞工出勤管理及工資給付要點)》(以下「要点」という)を正式に改正し、即日施行しました。今回の改正では、第3点・第7点・第8点の改正に加えて、第6-1点が新設され、天災発生時における雇用主の通勤支援義務に関する規定がより明確に示されました。

改正の要点

  1. 通勤支援の事前取決め(第3点)
    天災発生時においては、労働者の出勤管理および賃金給付に加え、新たに通勤支援に関する事項についても、労働契約・労働協約または就業規則に基づき、事前に明示されている必要があります。明記されていない場合は、本要点に準じて取り扱わなければなりません。
  1. 通勤支援義務の新設(第6-1点)
    業務上の必要により、雇用主が天災の期間中に労働者の出勤を求める場合、労働者の安全確保のため、雇用主は「通勤支援」を提供しなければなりません。たとえば、労働者が強風や豪雨により通常の通勤方法での出勤が困難となり、タクシーを利用する必要がある場合、その費用は雇用主が負担しなければなりません。
  1. 用語の修正(第7点・第8点)
    第6-1点の新設に伴い、第7点および第8点の用語もあわせて調整されました。

その他の補足措置

また、労働部は《就業規則審査要点(中国語:工作規則審核要點)》および「就業規則参考手引(中国語:工作規則參考手冊)」についても同時に改正を行っており、地方主務官庁が就業規則の審査を実施する際には、雇用主に対して通勤支援に関する規定を盛り込むよう要求することとなります。

結び

今回の改正により、天災時における雇用主の通勤支援義務が明確化されました。天災時の出勤に伴う紛争やリスクを軽減するためにも、企業および各機関におかれましては、速やかに労働契約・労働協約および就業規則の内容を点検のうえ、通勤支援に関する規定を追記することをお勧めいたします。これにより、法令の遵守が確実となるとともに、安定した労使関係の維持にも寄与することが期待されます。

弁護士等

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