台湾公正取引委員会(以下「公平会」という)は、2026年3月18日、生成AIに関する競争法議題の公衆意見彙整報告と政策声明を公表した。2025年7月の意見募集開始から約1年間の審議を経てまとめられたものであり、今後の競争法執行の基準となる重要な指針となります。
- 4つの執行原則
公平会は、以下の4原則を執行の核心方針として採用する方針を示しました。
① 議題・証拠主導:真に競争問題が生じている議題を特定した上で執行資源を集中し、証拠に基づかない一律規制は行わない。
② 在地連結:台湾独自の産業構造を踏まえて執行し、他国モデルを一律に導入しない。台湾には大規模プラットフォーム事業者が存在しないため、テック大手同士の競争よりもアプリケーション層(応用端)の競争動態を重点的に監視する。
③ 可競争性:現時点の市場集中度だけでなく、将来的な新規参入の可能性も含めて総合的に判断する。
④ 合理原則:競争への正・負双方の効果を総合的に衡量した上で判断する。
- 企業実務上の留意点
① 人材流動に関する契約条項
引き抜き禁止条項や競業避止義務など、人材流動を制限する契約が競争の固定化につながる場合、競争法上の問題を生じうるとして明示されました。その場合は雇用契約・業務委託契約の見直しが望まれます。
② クラウド・エコシステム統合
自社サービスの優遇、ベンダーロックイン、抱き合わせ販売等が審査対象となりえます。AIサービスを組み合わせて提供する事業者は、契約・取引条件の設計に注意が必要です。
今のところ、現行の公平交易法の枠組みで対応可能であり、新たな立法・改正は予定していないと公平会は明言しています。
- 今後の見通し
公平会は、AI産業の急速な変化に応じて執行戦略を随時見直すとしており、国際的な競争法執行との協調にも注目しています。本政策声明は現時点の情勢に基づくものですが、台湾でAI関連事業を展開する企業は引き続き動向を注視することが望まれます。






