経済のグローバル化およびデジタル技術の発展に伴い、クロスボーダー取引の形態はますます複雑化しています。外国法人が台湾の営利事業(以下「台湾企業」)に対して特許権のライセンスを供与し、その対価として外貨建てのロイヤリティ(権利金)を受領することは、現在では一般的な事案となっています。実務上、源泉徴収義務者である台湾企業は、当該ロイヤリティを支払う際、まず支払額(外貨)を「支払時点の為替レート」に基づき台湾ドル(TWD)に換算した上で、適用される源泉徴収税率を用いて税額を計算し、申告・納税を行う必要があります。
しかし、その後の合意により報酬の一部が返還されることとなった場合、過大に納付された源泉徴収税額(溢扣繳税款)はどのように算出されるべきでしょうか。
財政部国税局は、このような状況における還付申請額の計算について、特に注意を促しています。還付されるべき税額は、返還時の外貨額を「その時点のレート」で換算するのではなく、「返還される外貨額 ÷ 当初支払った外貨額」の比率を、実際に納付済みの「当初の源泉徴収税額(TWD)」に乗じて算出しなければなりません。
計算式は以下の通りです。
還付税額(TWD) = 当初の源泉徴収税額(TWD) × (返還される外貨額 / 当初支払った外貨額)
例えば、2026年、日本法人(乙社)が台湾企業(甲社)に対して特許権を供与し、報酬として10,000,000円を支払う合意がなされたケースを想定します。
当初の納税: 支払時の為替レートが0.2であったため、甲社は2,000,000 TWD(10,000,000円 × 0.2)を基準とし、源泉徴収税率20%を適用した400,000 TWD(2,000,000 TWD × 20%)を納税・申告しました。
一部返還の発生: その後、諸事情によりロイヤリティの一部である500,000円が返還されることとなりました。正しい還付額の計算:
400,000 TWD ×(500,000円 / 10,000,000円)= 20,000 TWD
誤りやすいケース:
もし甲社が、返還時点の為替レート(例:0.25)を用いて、500,000円 × 0.25 × 20% = 25,000 TWDとして還付申請を行った場合、算出根拠の誤りにより受理されません。
国税局は、源泉徴収義務者に対し、関連規定を遵守し、税額を正確に計算するよう呼びかけています。誤納や過大納付が生じた場合は、納税済みの納付書原本および関連証明書類を添えて国税局へ還付申請を行うか、あるいは同年度内の他の源泉徴収税額から差し引く(留抵)ことが可能です。当事務所では、コンプライアンスの遵守およびリスク管理の観点から、源泉徴収単位における税務事前審査メカニズムの構築、または公認会計士等の専門家への相談を通じた適切な試算を推奨いたします。


