今回の衆議院議員総選挙の日程とその異例性 

本稿執筆日(202623日)現在、日本では28日に投開票が行われる衆議院議員総選挙(以下、「衆院選」といいます)に向け、選挙戦が進められています。 

今回の選挙は、前回の選挙からわずか13か月ほどしか経過していないこと、そして通常国会の冒頭で解散が行われたことなど、いくつかの点で異例のものとなっています。中でも特筆されるのは、解散から投開票までの期間が戦後最短の「16日間」という、極めて短い日程であることです。 

台湾でも日本の衆院選の情報は連日報じられていますが、その制度的背景は必ずしも十分に紹介されていません。そこで本稿では、今回の事例をもとに、衆院選がどのような手続きと日程で進むのかを、憲法や法律の規定とともに概説します。 

 

衆議院の解散:制度的位置づけと根拠規定 

日本国憲法第45条は、衆議院議員の任期を4年と定めています。しかし、衆議院が解散された場合は、その時点で任期が終了します。なお、日本の国会は「衆議院」と「参議院」から構成されていますが、解散があるのは衆議院のみです。 

戦後に現在の国会制度となって以降、任期満了により実施された衆院選は1度だけで、その他はすべて解散をきっかけに行われています。衆議院の解散権が内閣にあることは一般的に肯定されていますが、どのような場合に解散できるかについては学説上議論があります。衆議院を解散し得る場合として比較的明確なのは、内閣不信任決議案が可決された際等に、内閣が解散を選択する場合です(憲法第69条)。 

一方、通説や政府解釈では、内閣は憲法第7条(天皇の国事行為に対する助言と承認)に基づいて幅広く解散を決定できるとされています。実際、これまでの解散の多くも第7条を根拠に行われてきました。 

今回も、123日に内閣が憲法第7条に基づいて解散を閣議決定し、同日午後、衆議院の本会議場で天皇の署名のある解散詔書が衆議院議長によって朗読されました。なお、詔書朗読後には失職した議員が「万歳」と唱えるのが慣例となっています。 

 

日程および立候補者の決定:公示・投票日の法的根拠 

衆議院の解散後、再び閣議が開かれ、公示日(127日)と投票日(28日)が定められました。 

憲法および公職選挙法は、 

・解散から40日以内に衆院選を行うこと(憲法第54条、公職選挙法第31条第3項) 

・期日は少なくとも12日前までに公示すること(公職選挙法第31条第4項) 

を定めています。今回の「127日公示・28日投票」という日程は、法の枠内でありながらほぼ最短の設定だといえます。 

また、公示日には立候補の届出が行われ、選挙戦が正式に開始されます。 

 

多様な投票方法 

投票の方法には以下のようないくつかの選択肢があります。 

・投票日当日に投票所で投票する方法 

・期日前投票 

・不在者投票(居住地以外に滞在している場合などに、滞在先から投票) 

・在外投票(海外在住者による投票) 

台湾に住む日本人の在外投票では、日本台湾交流協会での投票に加え、郵便による投票も可能です。ただし、今回のような短い日程では、国によっては郵便投票が締切に間に合わないケースがあるとも報じられています。 

なお、こうした制度が整備されているにもかかわらず、近年の衆院選の投票率は50%台前半で推移しています。 

 

(参考) 

衆議院法制局・衆議院憲法審査会事務局「『衆議院の解散』に関する資料(2025年5月8日)」(2026年2月3日取得,https://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_kenpou.nsf/28ead72e24176afe49256967002b66d3/cb1a157579974c3f49258c8400261a46/$FILE/2170508_3housei_kenshin-siryou.pdf 

総務省「第51回衆議院議員総選挙」(2026年2月3日取得,https://www.soumu.go.jp/2026senkyo/ 

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