システムインテグレーターが上流から無人機の完成機又は部品を調達し、これを発注機関に納入して履行する場合において、発注機関が製品に大陸地区製部品の使用を発見したときは、インテグレーターは返品、解約及び違約金の賦課を甘受するほか、上流サプライヤーに対してどのように求償するかという問題に直面する。現行民法上、その請求権の基礎は主として物の瑕疵担保責任(物之瑕疵擔保)と不完全給付(日本法の不完全履行に相当する)の二つであり、両者は成立要件、行使期間及び法律効果のいずれにおいても異なる。本稿は、本シリーズで紹介した事例を素材として、両者の相違を説明する。
問題の所在
無人機のシステムインテグレーターが上流から完成機又は部品を調達し、これを発注機関に納入して履行することは、国防調達及び政府調達において広く見られる。ひとたび発注機関が製品に大陸地区製部品の使用を発見すれば、インテグレーターは返品、解約及び違約金賦課という不利益を甘受するほか、上流サプライヤーに対してどのように求償するかという問題に直面する。現行民法上、インテグレーターが上流に請求する根拠は主として二つ、すなわち物の瑕疵担保責任と不完全給付である。両者は成立要件、行使期間及び法律効果のいずれにおいても異なり、選択を誤れば、問題が発見される前に除斥期間の経過により権利が消滅してしまうこともありうる。
事案の概要
第一回で紹介した事例である。システムインテグレーターは、国家中山科学研究院(以下「中科院」という)との調達契約を履行するため、サプライヤーから屋内用無人機及び地上管制局を代金260万台湾ドルで購入した。その後、中科院は、無人機のモーター及びフライトコントロールモジュールの基板が大陸地区製部品であること、フライトコントローラーの性能試験が不合格であったこと等を理由に返品し、当該部分につき契約を解除して、インテグレーターに対し合計129万6,306台湾ドルの違約金を賦課した。そこでインテグレーターは代金の支払を拒絶し、サプライヤーに対して契約を解除した。サプライヤーは代金の支払を求めて提訴し、インテグレーターも反訴として前記違約金相当額の賠償を求めた。三者間の契約関係は図1のとおりである。
図1 本件三者間の契約関係
同一の無人機について、第一審はインテグレーターに260万台湾ドルの代金の支払を命じ、第二審はこれを改め、インテグレーターに支払義務はなく、サプライヤーがインテグレーターに129万6,306台湾ドル及び利息を支払うべきものとした。両審級の基礎となる事実に相違はない。違いは裁判所が適用した規定にあり、第一審は物の瑕疵担保責任により、第二審は不完全給付により審査したのである。[3][4][5]
二つの請求権基礎の相違
(1) 法的性質
物の瑕疵担保責任は、法が売主に課す無過失責任であり、売主に過失があるか否かを問わない。これに対し不完全給付は債務不履行に属し、債務者の責めに帰すべき事由を要する。両者の関係については、最高裁判所民事判決2011年度台上字第1468号が参考となる。いわく、「……両者は、その法的性質、規範機能及び構成要件のいずれも一致せず、実体法上は異なる請求権の基礎であり、訴訟法上もまた相異なる訴訟物であるから、裁判所は審理において、当事者が主張する訴訟物たる法律関係に即してその成立要件を定めるべきである……」。同判決はさらに、売主が引き渡した物に担保責任を負うべき瑕疵があり、当該瑕疵が契約成立後に生じ、かつ売主の責めに帰すべきものであるときは、両者は請求権競合の関係に立ち、当事者はそのいずれかを選択して行使しうるとする。
(2) 契約の解除
契約の解除については、最高裁判所民事判決2005年度台上字第2352号が「……物の瑕疵により契約を解除する場合と、不完全給付により契約を解除する場合とは、両者を異にする……」と判示し、両者に次の四点の相違があることを説明している(表1)。
表1 瑕疵担保による解除と不完全給付による解除の相違
| 比較項目 | 瑕疵担保による解除 | 不完全給付による解除 |
| 売主の責めに帰すべき事由を要するか | 不要 | 必要 |
| あらかじめ期間を定めた催告を要するか | 不要 | 瑕疵の補正が可能な場合は、期間を定めて催告したにもかかわらず補正されないことを要する。補正が不可能な場合は、催告を経ずに直ちに解除することができる |
| 除斥期間 | 民法第365条の制限を受ける。すなわち、第356条による通知後6か月間行使しないとき、又は物の引渡しの時から5年を経過したときは、解除権は消滅する | 民法第365条の適用はない |
| 解除が著しく公平を失する場合 | 代金減額のみ請求できる | この種の制限はない |
出典:最高裁判所民事判決2025年度台上字第2352号に基づき作成。
(3) 損害賠償
損害賠償の面における相違はより顕著である。買主が瑕疵担保の規定による場合、原則として契約の解除又は代金減額の請求にとどまり、不履行による損害賠償を請求するには、民法第360条所定の「売主が保証した品質を欠くとき」又は「売主が故意に物の瑕疵を告げなかったとき」に該当することを要する。しかし、インテグレーターが現実に被る損失は、多くの場合、発注機関から賦課された違約金である。本件のインテグレーターが請求した129万台湾ドル余りは、まさに不完全給付の規定によって初めて認容されたものであった。
結語
以上のとおり、物の瑕疵担保責任と不完全給付とは、帰責性、催告、除斥期間及び損害賠償の範囲のいずれにおいても相違がある。上流の部材の原産地が適合しなかったために最終発注機関から違約金を賦課されたシステムインテグレーターにとって、請求権基礎の選択は、同一の損失を回復しうるか否かを左右することが多い。本件の第一審と第二審の結論が正反対となった原因も、まさにこの点にある。
次回は、本件の第一審と第二審が、附属契約の効力、検査義務及び期間制限についてどのように判断を異にしたか、また買主が速やかに検査・通知をしなかった場合になお不完全給付を主張しうるかを検討する。
[1] 呉詩敏弁護士は有澤法律事務所(Stellex Law Firm)のマネージング・パートナー。東呉大学法学修士、米国インディアナ大学インディアナポリス校法学修士。
[2] 林子靖弁護士は則誠法律事務所の代表弁護士。国立政治大学法律学際統合研究所修士、米国ジョージタウン大学ロースクール環境・エネルギー法学修士。
[3] 台湾桃園地方裁判所民事判決2021年度訴字第608号(2023年5月12日)。
[4] 台湾高等裁判所民事判決2024年度上字第66号(2025年10月29日)。
[5] サプライヤーの上告は、最高裁判所民事決定2026年度台上字第424号により上告不適法として却下され、第二審判決が確定した。

